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公認会計士の仕事内容をわかりやすく説明!気になる年収や試験内容も詳しく紹介

公認会計士とは?

公認会計士は、医師・弁護士と並んで3大国家資格として紹介される資格です。

試験難易度が高い代わりに、キャリアを積みやすく、高い年収を得られるのが大きなメリット。

「公認会計士」という資格を聞いたことがあっても、具体的にどのような仕事を行うのかまでは知らない人が多いでしょう。

公認会計士とはどのような仕事なのか、公認会計士になるためにはどのような試験を通過しなければならないのか。

公認会計士について詳しく知りたい人のために、基礎的な情報をまとめました。

将来公認会計士を視野に入れている人、公認会計士になるためにどのような進路選択が必要なのか知りたい人はぜひ参考にしてください。

公認会計士の仕事内容を具体的にわかりやすく知りたい!

まずは、公認会計士がどのような仕事をする職業なのか理解していきましょう。

公認会計士は、監査や会計に関する業務を専門とする資格です。

公認会計士が行う業務は、3つに分けられるのでそれぞれ見ていきましょう。

①税理士業務

公認会計士は、別途税理士として名簿登録を行い、税理士業務にも携われます。

税理士は資格取得のために試験を受けなければなりませんが、公認会計士の試験に合格した人は税理士の試験を受けずに登録可能です。

税理士業務は、税に関する書類の作成やコンサルティングが主な仕事。

公認会計士としての仕事だけでなく、税金の面でも経営に携われるので仕事の幅が広がります。

②監査業務

公認会計士のメイン業務となるのが、企業の監査業務です。

監査業務では、企業が作成した財務諸表の内容が間違っていないか、第三者の立場からチェックして評価します。

財務系表とは、決算時の財政状態や経営状態をまとめた書類です。

企業が赤字を隠していないか、横領など不審なお金の流れがないか、細かく確認する業務をイメージするといいでしょう。

過去、財務諸表の不正が発覚して大問題に発展した企業がいくつかあります。

こうしたトラブルや不正を防ぐために、専門家の目線から監査するのが公認会計士のメイン業務です。

③コンサルティング業務

公認会計士は監査業務の他に、企業のコンサルティングを担当する場合もあります。

公認会計士になるための勉強内容に、企業の経営についてやリスク管理についての知識が含まれます。

そのため、企業の経営戦略、組織再編、M&A(企業買収)といった企業の運営方針をサポートすることも。

監査業務だけでなく、企業の運営にも携われるのが公認会計士の魅力です。

公認会計士は就職先によって主な仕事内容が変わる

先ほど紹介した通り、公認会計士には様々な業務があります。

しかし、すべての業務を必ず行わなければならないわけではありません。

公認会計士は就職先がいくつもあり、就職先によって主な業務が変わります。

公認会計士としてどのような仕事がしたいか、就職先のイメージを固めておくと就職後のビジョンが具体的に見えやすいです。

公認会計士の主な就職先をいくつかご紹介します。

公認会計士として安定して働ける監査法人

公認会計士になった人の多くが、監査法人で働いています。

監査法人とは、会計監査を主な業務として設立される法人で、公認会計士法に基づき運営されています。

監査法人の主な業務は、監査業務とコンサルティング業務。

公認会計士の仕事全般を行いたい人は、監査法人に入れば問題ありません。

監査法人には、大手企業の監査を一手に担う「大手監査法人(BIG4)」と呼ばれるグループがあります。

大手監査法人(BIG4)

  • あずさ監査法人
  • 新日本監査法人
  • PwCあらた監査法人
  • トーマツ監査法人

大手監査法人は法人規模が非常に大きいだけでなく、クライアントの数が多く、業績が高いと有名です。

公認会計士を目指す人の多くは、大手監査法人への就職を目標としている人も多いでしょう。

この次に有名なのが「準大手監査法人」と呼ばれる計5法人。

準大手監査法人

  • 仰星監査法人
  • QwC京都監査法人
  • 三優監査法人
  • 太陽有限責任監査法人
  • 東陽監査法人

大手監査法人よりも担当している企業の規模が小さめで、一社に対して配属される監査チームの人数も大手より少ない傾向です。

大手監査法人より早く様々な業務を任せてもらえるので、公認会計士として早くスキルアップしたい人におすすめ。

上記以外の監査法人を「中小監査法人」と呼びます。

各地域に密着した小規模運営をしている監査法人が多く、自分のライフスタイルや考えに基づいて自由に監査法人を選べます。

監査面以外で活躍したいなら経営コンサルタント

公認会計士が担当する業務の中で、経営コンサルタントをメインにする人もいます。

経営コンサルタントとして活躍するためには、コンサルタント専門のファームに勤務するのが一般的です。

経営コンサルタントは企業方針や計画を中心に、経営戦略を立案するのが主な業務。

経営や会計に関する知識を応用して、会社の運営に深く携わっていきます。

経営コンサルタントになるには「中小企業診断士」という資格を取得してもいいですが、より深い知識を使って働きたいなら公認会計士が向いているでしょう。

公認会計士になるためには監査法人などで2年以上の実務経験が必要なので、最初から経営コンサルタントにはなれません。

監査法人で実務経験を積み、知識や経験を蓄えてから経営コンサルタントに転向する人がほとんどです。

一社に寄り添って活躍する組織内会計士

企業に就職して、企業内で会計士として働く人を「組織内会計士」と呼びます。

組織内会計士の主な業務は、会社の経理部門、財務部門での資金調達や財務管理が多いです。

その他にも経営コンサルティングに近い、事業戦略の考案を行う人もいます。

監査法人で様々な企業に関わるのではなく、企業の一員として内側から企業を支えるのが組織内会計士。

「この会社で働きたい」「1つの企業を長期的に成長させたい」といった具体的な目標がある人におすすめです。

投資に興味があれば金融機関でも活躍できる

金融に関する業務に興味がある人は、金融機関での勤務もおすすめです。

どの会社にどれだけ投資すべきか、投資したあとどのように経営していくかといった、金融面からのアドバイスができます。

金融機関に所属すると、お金の流れを間近にチェックできるのがメリット。

公認会計士として、特に金融面の知識を深めたい人は金融機関への就職が向いています。

実務経験を積んだら独立開業もできる

ここまで紹介してきた各就職先で公認会計士として実務経験を積んだら、独立開業する人も少なくありません。

いわゆる中小監査法人として自分で監査法人を経営できます。

自分の経営理念に基づいた運営ができ、営業次第では年収3,000万円以上の収入を見込めるのがメリット。

最終目標を「独立」としている公認会計士も多いのではないでしょうか?

公認会計士として実務を重ねるだけでなく、将来的に独立できる可能性があるのも、公認会計士の大きな魅力です。

公認会計士と税理士の違いはそれぞれの独占業務

公認会計士と似た仕事として挙げられるのが税理士です。

公認会計士 税理士
独占業務 監査 税務
試験の受験資格 なし ・大学、短大、高等専門学校を卒業し、法律学または経済学に属する科目を1科目以上取得
・大学3年以上の学生で、法律学または経済学に属する科目を含めて合計62単位以上を取得
・司法試験合格者
・公認会計士試験の短答式試験合格者
・日商簿記検定1級合格者
など
年収 500~3,000万円程度 300~1,000万円程度

両方ともお金にまつわる仕事ですが、細かく見るとそれぞれ独占業務が違います。

独占業務とは、「その資格を持った人しか行えない業務」のこと。

公認会計士の独占業務は「監査」、税理士の独占業務は「税務」です。

つまり、監査業務は公認会計士の資格を持った人しか担当できず、逆に公認会計士の資格を持っていても、税理士として登録していない人は税務業務を行えません。

試験難易度は公認会計士の方が高いため、税務業務だけを行いたいならば公認会計士の資格は必要ありません。

先ほども紹介したとおり、公認会計士の資格を持っている人は税理士として登録できます。

監査業務やコンサルティング業務だけでなく、税務業務も行いたい場合は公認会計士を取得し、合わせて税理士登録を行いましょう。

試験難易度に差はありますが、公認会計士・税理士いずれも日本の経済を支える非常に重要な職業です。

公認会計士は大手企業を相手に仕事をする

公認会計士と税理士は仕事内容だけでなく、さらに仕事相手となるクライアントにも違いがあります。

公認会計士が独占企業としている監査は、規定を以下の通りに定めています。

公認会計士(会計監査人)の監査が義務付けられている会社は、大会社(資本金が5億円以上、または負債金額が200億円以上)および指名委員会等設置会社及び監査等委員会設置会社である。また、それ以外の会社でも任意で監査を受けることができる。

引用:会社法監査|日本公認会計士協会

分かりやすく言うと、法律で監査が義務付けられているのは大企業のみ。

上記の「大会社」に属さない中小企業は監査が義務付けられていないため、任意です。

そのため公認会計士が主に仕事をするクライアントは大企業がほとんど。

それに対し税務士が担当する税務業務は、個人から中小企業まですべての会社に必要です。

大企業相手に税務業務を行う場合もありますが、主なクライアントは中小企業または個人が多いでしょう。

公認会計士の将来性は安定しているのか解説

公認会計士の仕事内容や就職先について詳しく分かったところで、次は具体的な収入や将来性について見ていきましょう。

公認会計士は、なんとなく「取得が難しい資格で高所得者」とイメージしている人も多いのではないでしょうか?

また、「取得が難しい資格をとっておけば将来的に安泰」というイメージもあります。

実際、公認会計士の将来性は安定しているのか、本当に高収入なのか、それぞれ解説していきます。

近年の公認会計士は将来性が安定している

近年の公認会計士は、将来性が安定している傾向にあるでしょう。

数年前までは新しく合格する公認会計士の数に対し求人が少なく、せっかく試験に合格しても勤務先を見つけきれない人がいました。

しかし最近は、企業のグローバル化や企業買収が活発になり、監査業務だけでなくそれ以外の業務需要が高まりました。

企業の要望に応えるため、各監査法人は公認会計士の採用数を増やしており、全体的に公認会計士の需要が高まっています。

新しく合格した公認会計士ができるだけ就職できるよう、公認会計士試験の合格者を絞っているのも要因の1つでしょう。

公認会計士の年収は一般企業よりも高い

公認会計士は取得が難しい資格で、専門知識が必要なので、一般のサラリーマンよりも高収入です。

公認会計士が高収入なのは、初任給のみで見ても明らか。

初任給の金額
公認会計士 30~35万円
大卒の初任給平均 202,000円

参考:TAC
令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況|厚生労働省

大卒の平均初任給が約20万円なのに対し、公認会計士の初任給は30万円を超えています。

初年度の年収を基本給のみで見ても、一般企業に就職した人より100万円以上収入が高いです。

また、公認会計士の年収は勤務する監査法人によって大きく変わります。

勤務先 年収
大手監査法人(BIG4) ~1,200万円
準大手、中堅監査法人 800~1,000万円
組織内会計士 800~1,000万円
独立開業した公認会計士 300~3,000万円

大手監査法人は圧倒的に収入が高く、勤続すれば安定して1,000万円以上の収入を望めます。

準大手監査法人や中堅監査法人では、最高で1,000万円程度ですが、一般企業で働くよりも高収入を得られるでしょう。

独立開業する場合、収入は企業努力に大きく左右されます。

開業した公認会計士の収入は平均1,000万円程度と言われていますが、努力次第では3,000万円以上の収入を目指せるでしょう。

ただし、クライアントが定着するまでは監査法人に勤務しているときより収入が低くなる可能性も。

開業する際は、ある程度確実に収入が見込める地盤を固めてから行動するのがおすすめです。

公認会計士になるための試験内容や進学先

ここからは、公認会計士になるために必要な資格や試験内容について詳しく解説します。

公認会計士の試験は難易度が高く、決して簡単になれる職業ではありません。

公認会計士になるために必要な勉強時間は2~4年と言われており、とにかく時間と努力が必要な資格です。

「今から公認会計士を目指したいけどできるのか」「公認会計士を目指すならどの学校に進学すべきか」、迷っている人はぜひ参考にしてください。

それと会計士を目指すとなると、時間とお金を投資する必要があります。
資金繰りに困る時もあるかもしれません。そんなときの為に国の制度を利用する事も考えておきましょう。

詳しくは、「公認会計士になるためにお金を借りる方法はある?奨学金や借入先を紹介」で解説していますので、参考にしてみてください。

公認会計士になるための受験資格はない

まずは、公認会計士になるための受験資格について説明します。

国家資格を受けるためには、「ここまでの学歴が必要」「この資格を取得していなければならない」といった受験資格が設けられています。

結論から先に述べると、公認会計士試験を受けるために必要な受験資格はありません。

高卒でも受けられるし、経営や会計に関係ない学部の大学を卒業していても問題ありません。

年齢制限もないので、「なりたい」と思ったらいつからでも目指せるのが公認会計士です。

公認会計士試験は難易度が高いものの「受験しやすい」と言われているのは、このように受験資格がないからです。

勉強時間さえ確保できれば、誰でも公認会計士を目指せます。

公認会計士の資格取得のために日商簿記検定は受けておくべき?

公認会計士になるために必須資格はありませんが、「日商簿記検定」は受けておいた方がいいと言われる場合があります。

「簿記」とは、企業の経営に関する情報を記録、計算する技能で、これらの能力がどれだけあるかを測るのが日商簿記検定です。

公認会計士の勉強を行う際に基礎的な部分を学べるので、日商簿記検定を取っていると勉強がスムーズに進みます。

また、予備校で公認会計士の勉強をする場合、日商簿記検定2級相当の知識があること前提で講義が進みます。

ある程度の知識は独学でカバーできますが、予備校での勉強に最初から食いついていくためには、事前に日商簿記検定2級を取得しておいてもいいでしょう。

ただし、簿記検定を取るための勉強では、公認会計士試験に必要ない科目も履修しなければなりません。

なるべく早く公認会計士になるためには、簿記のみで必要な科目を勉強する時間がもったいないと考える人もいます。

高校や大学在学中に余裕がある人は取得をおすすめしますが、社会人で勉強を始める人は無理に取得しなくてもいいでしょう。

公認会計士の試験形式

次は、公認会計士になるための試験を詳しく見ていきましょう。

公認会計士になるためには、2種類の試験と実務経験、最後の修了試験をクリアする必要があります。

短答式試験
試験開催時期 ①5月下旬
②12月上旬
いずれか1度の試験に合格すればいい。
試験形式 マークシートによる選択式
試験科目 財務会計論、管理会計論、監査論、企業法
合格基準 4科目の総合点が70%以上
完全免除 ・過去2年以内に短答式試験に合格している者
・司法試験合格者

短答式試験は公認会計士になるための第一次試験です。

毎年12月、5月の2回、任意のタイミングで受験可能で、どちらかの試験で合格すればOK。

短答式試験は一度合格すれば2年間免除されるため、合格後2年間は次の論文式試験に集中できます。

論文式試験
試験開催時期 8月下旬(3日間)
試験形式 論述式の筆記試験
試験科目 会計学、監査論、企業法、租税法、選択科目(経営学、経済学、民法、統計学)
合格基準 5科目の総合得点が52%以上
完全免除 なし

選択式試験に合格したら、次は論述式の筆記試験に合格しなければなりません。

論文式試験は年に1度しかないため、8月に向けて相当な準備をして臨みます。

短答式試験と違い、論文式試験の完全免除はありません。

不合格者の中から、一部科目で高い成績を収めた人は、その科目のみ2年間免除してもらえます。

一度試験に落ちるとさらにもう1年勉強しなければならないので、可能な限り1回の試験で合格するのが望ましいでしょう。

合格判定は5科目の総合得点が52%以上を上回るのが必須とされますが、いずれか1つの科目でも得点が40%を下回ると不合格です。

実務補助、実務補習、終了考査

公認会計士になるためには、監査法人や会計に関する職場で2年以上の実務経験が必要です。

実務補助は試験に合格する前後どちらでも構わないので、働きながら試験勉強を行い、試験合格を目指せます。

実務補習とは、「実務補習所」という施設に原則3年間通い、公認会計士に必要な単位を取得するカリキュラムです。

実務補習で必要な単位を取得すると、ようやく終了考査を受けられます。

終了考査に合格したら晴れて一人前の公認会計士です。

公認会計士を目指す人におすすめの学部

先程も説明した通り、「公認会計士になるためにはこの学部を出ていなければならない」といった決まりはありません。

しかし、公認会計士の試験は非常に専門性が高く、0から独学で勉強するのはとても難しいと言われています。

公認会計士を目指す前提で大学を選ぶなら、以下の学部へ進学するのが有利です。

公認会計士になるためにおすすめの学部

  • 経済学系の学部
  • 経営学系の学部
  • 商学系の学部

上記の学部なら、公認会計士に必要な知識の基礎を学べます。

また、公認会計士になるために大学を出る必要はないので、中には予備校だけに通って勉強しようと考えている人も多いでしょう。

予備校のみに通う場合学費は抑えられますが、公認会計士試験に落ちて一般職を目指す場合、「高卒」または「専門卒」で就職しなければなりません。

もしものときを考えるなら、大学を卒業しておくのが無難です。

社会人でお金を稼ぎながら公認会計士を目指す方法もあります。

ただし勉強に確保できる時間が少なく試験で不利になる可能性があるので、長時間かけて根気よく続ける必要があります。